2009年08月31日

ロシア文学の食卓

ロシア文学の食卓

ロシア文学の食卓
著者:沼野恭子
出版社:日本放送出版協会
価格:¥1160

食欲をそそるロシア文学ガイド

教育テレビ「ロシア語講座」のカッコイイ女先生、沼野恭子さんの著作。

『罪と罰』『アンナ・カレーニナ』他、多彩なロシア文学作品を紹介しながら
そこに登場する食卓風景を取り上げ、料理や食材を通して
浮かびあがるロシアの歴史や文化、物語の生まれた背景を
数々の写真とともにとてもわかりやすくていねいに
解説してくれている。

ピロシキやボルシチは知っているけど、
ブリヌィ、セリャンカなんてのになるともう、料理の名前なのか
ただでさえ長ったらしくて耳なれない登場人物の名前なのか
イメージがわかない、というのが
私たちがロシア文学を読むときの本音だとおもう。

いちいち脚注で確かめても文字だけではなんだか伝わらないし。

そんなあなたにおすすめの本書、
ふんだんに使われる写真を見ているだけでも楽しいし
なにより、料理を説明する沼野先生の匂いたつような
明快な文章を読んでいると
次から次へと涎が出てくることまちがいなし。
とてもおなかがすく、本でもあります。

フランスのお家芸だと思っていた、フルコースという
食事の出し方が、実はロシアから伝わったものだというのも驚きだし。

とにかく食いしん坊の健啖家が多い国なんだそう。
その、大食いっぷりにはフランス人も舌をまくとか。

以前読んだ、ゴーゴリの『外套』というヘンな小説を思い出した。
アカーキィ・アカーキウィッチ(たしか)という名前もヘンな
下級官吏が外套によせる尋常ならぬ執着心にまつわる
変わった短編小説なのだけれど
主人公がパーティに呼ばれていった家で
サモワール(お茶用の湯沸し道具)がしゅうしゅういっていた、という描写や
仔牛の冷肉やパイや肉饅頭に、シャンパンなど
食卓に満載されていた料理の豊かで豪華なことに
魅了されたものだ。

異文化になみなみならぬ関心がある人、たべものが大好きな人には
ページを繰るのがほんとうに楽しい、快著です。

N.N



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Posted by だてBLOGスタッフ at 13:10│Comments(0)エッセイ
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