2009年01月21日
その名にちなんで

著者/ジュンパ・ラヒリ
出版社/新潮社(新潮文庫)
税込価格/740円
名前には付けた者にしかわからないドラマがある―。
インドからアメリカへ渡ったアショケとアシマの夫妻は、我が子に「ゴーゴリ」と名付けた。
その名に宿る奇跡が、限りない幸福をもたらすと信じて。
ピューリッツァー賞作家、ジュンパ・ラヒリの世界的ベストセラー。
アメリカに移住したインド人家族にまつわる、大河のような物語です。
両親によってゴーゴリと名づけられた主人公は、インド式の生活様式や考え方、
価値観にことごとく反発します。
そして、大学に入学し、家を出て寮に入るのを機会に、
ゴーゴリの名を捨てようとするのですが。
父親からゴーゴリの由来を聞いた時、その決意は揺らぐ・・・
アメリカとインド、ふたつの祖国。
両親の世代とその息子である二世の世代。
こうした二面性の間を物語は縦横に行き来しながら
息をのむような、細密なタピストリーを見せてくれます。
原書のタイトル The Namesake を 「その名にちなんで」と訳した
センスがすばらしい。
「ゴーゴリ」(ロシアの作家ですね)という名前の使い方がまた、
絶妙というほかありません。
ぐいぐい引き込まれるプロットに、あふれる気品とユーモア。
著者はインド系のアメリカ人で、とても美しい女性です。
同名で映画化もされました。
N.N.
Posted by だてBLOGスタッフ at 19:59│Comments(0)
│小説