その名にちなんで

だてBLOGスタッフ

2009年01月21日 19:59



著者/ジュンパ・ラヒリ
出版社/新潮社(新潮文庫)
税込価格/740円

名前には付けた者にしかわからないドラマがある―。

インドからアメリカへ渡ったアショケとアシマの夫妻は、我が子に「ゴーゴリ」と名付けた。
その名に宿る奇跡が、限りない幸福をもたらすと信じて。

ピューリッツァー賞作家、ジュンパ・ラヒリの世界的ベストセラー。

アメリカに移住したインド人家族にまつわる、大河のような物語です。

両親によってゴーゴリと名づけられた主人公は、インド式の生活様式や考え方、
価値観にことごとく反発します。
そして、大学に入学し、家を出て寮に入るのを機会に、
ゴーゴリの名を捨てようとするのですが。

父親からゴーゴリの由来を聞いた時、その決意は揺らぐ・・・

アメリカとインド、ふたつの祖国。
両親の世代とその息子である二世の世代。
こうした二面性の間を物語は縦横に行き来しながら
息をのむような、細密なタピストリーを見せてくれます。

原書のタイトル The Namesake を 「その名にちなんで」と訳した
センスがすばらしい。
「ゴーゴリ」(ロシアの作家ですね)という名前の使い方がまた、
絶妙というほかありません。

ぐいぐい引き込まれるプロットに、あふれる気品とユーモア。

著者はインド系のアメリカ人で、とても美しい女性です。

同名で映画化もされました。

N.N.


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